未知へのシュプール   

     - Biography of a skialpinist-

Summary of 2004-2006 climb & ride in Andes

スキー滑降に関してはまったくといっていいほど情報が無く、未知の要素が極めて高かったペルー/ボリビア・アンデス。そのアンデスでの過去3度にわたるClimb & Rideのサマリーがでてきたのでアップしておきます。地平線会議あたりで報告しようと思って残念ながら果たせなかったものです。未投稿写真も随時掲載しようと思います。


ペルー/ボリビアアンデス6000m峰からのスキー滑降(Brief conclusion)  
                                        
1.アンコーマ峰(Ancohuma, 6427m, Real, 2004)
雄大な山容を誇るアンコーマはソラタ・マシフの最高峰で、近年までは標高が7014mあるといわれていた山。98年に訪れて以来、ボリビアで最大規模の氷河を有するこの山からの滑降は十分に可能であると考えていた。
 登山基地となるソラタでミュールとポーターを雇い、Laguna Chillata (4204m)からLaguna Glacier(5038m)を経由する3日間のキャラバンで、標高5600mのアンコーマ西面氷河上にHigh Campを設営。大氷河からプラトーを経て、さらに急な西壁から最後は南西稜を登りサミットへと達した。サミットリッジでは高度感溢れるスキー滑降を堪能し、西壁基部から氷河末端まではカービングターンで会心のシュプールを刻んだ。西壁から南西稜の登攀グレードはAD(French Grade)、滑降高度差は約1000m、最大斜度45度。スキー滑降を十分に楽しめる名峰であった。

アンコーマ
巨峰アンコーマにアンデス最初のシュープールを刻む。



ancoma1.jpg
アンコーマ滑降ライン


2.イリャンプ峰(Illampu, 6368m, Real, 2004)
ボリビア・アンデスの王者、イリャンプはノーマルルートでもアルプスグレードでDの登攀的な山として知られる。この山でスキーをイメージできる人は少ないであろう。そのサミットリッジと高度差300mの急峻なヘッドウォール部が核心になると思われる。雪質、斜度ともに未知への挑戦であった。
アンコーマ村 (3850m)からのキャラバンで南西に切れ込む谷間からアグア・カリアンテを経由してイリャンプの北面氷河へと2日間かけて登り、氷河の上部コロシアムに位置するハイキャンプ(5600m)へと達する。アタックは北西ヘッドウォールのバリエーションラインを10Pのアイスクライミングで登攀し、部分的にテクニカルなサミットリッジを登って山頂へ到達した。山頂直下からは露出感極まるエキサイティングなドライパウダーの滑降でサミットリッジに舞った。アイシーなヘッドウォール部はクライムダウンと懸垂でこなし、さらに下部氷河を滑降した。北西壁バリエーションラインから南西稜のグレードはD、サミットリッジの滑降高度差は約450m、最大斜度は 50度。下部氷河の滑降高度差は300mであった。


イリャンプ
イリャンプサミットリッジにて(後方はアンコーマ)



イリャンプ1
イリャンプ滑降ライン(アンコーマ氷河から)


3.チョピ・オルコ峰(Chaupi Orco, 6044m, Apolobamba, 2005)
チョピオルコはアポロバンバの最北端、ペルー国境に聳える山群の主峰で美しい白銀の秀峰である。ラパスから遠く離れたペレチュコ村からミュールを使い、3日間雪に降られながら3つの峠越えでパンパ端部のベースキャンプEl Rinconに至る。4日目のハイキャンプに上がるころからは好天に転じ、さらにHCからは偵察をかねた2日間の粘り強いアタックで旧ルートのSEリッジとは異なる、東壁からよりダイレクトなラインでの登頂に成功した。下部は大きなクレバスを縫うようなライン、上部はほどよい傾斜の東壁を登った。登りでスキーは5600m付近まで使用可能であった。さらに山頂まで担ぎ上げたスキーで反対サイドの大斜面をコルまで快適なサミットスキーを行った。東壁は部分的にアイシーで、ペニテンテスもあり、一部クライムダウンと懸垂を交えたが、HCまで標高差1100mのうち三分の二はスキー滑降できたので満足した。ここはスケールの大きな美しい氷河で周囲にChaupi Orco Norte(6000m)を含む無名峰がたくさんあった。まさに別天地でのスキー滑降であった。東壁新ルートの登攀グレードはAD、滑降高度差は約800m、最大傾斜は40度である。初滑降になると思われる。

cyopi-1.jpg
ペルー/ボリビア国境のアポロバンバ山群最奥に鎮座する主峰チョピオルコの大氷河。



4.コロロ峰 (Cololo, 5915m, Apolobamba, 2005)
アポロバンバ第2の高峰、アルティプラノの貴婦人、エレガントなスティープ・トライアングル。ペルー・ブランカのアルテソンラフに似ているがこちらはめったに登られない、アポロバンバきっての難峰である。
 ペルー国境に近いペレチュコ村からロングな1日で美しい氷河湖の脇にキャンプを設営した。ここからHCを作らずに標高差1200mをワンデイでアタックする作戦をとった。
 朝4時に出発して23時に帰幕した。19時間の連続行動で心身ともにへとへとになったが胸には熱いものをしっかりと持ち帰った。
 Cololo基部の大きな氷河を回り込み、一か八か、ガイドにないSW壁にルートを求めた。中間部までは雪壁とクレバスが交互に現れる難しいルートファインディング。最後は露出感の溢れるWリッジに出て4P、部分的に5級のアルパインアイスをこなした。山頂は見事なナイフリッジで一人立つのがやっとだった。16時半、登頂し雄叫びを上げた。Cololoのスキー滑降は本当に素晴らしかった。既に夕暮れ直前だった。Wリッジの基部直下から広大なバージンスノーのSWフェイスに印象的なシュプールを描いた。振り返ると白いフェイスがバラ色に染まっていた。SW壁からWリッジの登攀グレードはD、滑降高度差は500m、最大斜度50度だった。

5.ワイナポトシ峰 (Huayna Potosi, 6088m, Real, 2005)
今回の遠征のフィナーレを飾るべくワイナポトシ南峰に突き上げる美しいスティープ・フェイス、フレンチルートの滑降を狙った。このフェイスは是非滑降したかった。しかし既にコンデションが悪く、ノーマルルートに変更した。ゾンゴからワンデイ、ソロでトライした。結果は5600m地点でのクレバスが越えられずに、無理せずそこから滑った。中間部は雪質もほどほどに良く満足のゆくエピローグになった。ノーマルルートのグレードはPD、滑降高度差400m。

6.ピスコ西峰 (Pisco Oeste, 5752m, Blanca, 2006)
シーズン半ばのコルディレラブランカでスキーヤーは自分だけだった。高度順化を兼ねてSWリッジを登る。息が切れたが、ほぼ完全滑降できた。大パノラマが展開するブランカ山群の中心でとてもワンダフルな滑降が堪能できた。下部はエメラルドグリーンの氷河湖に向って新雪にシュプールを刻んだ。SWリッジの登攀グレードはPD。滑降高度差は約850m、最大傾斜は40度の楽しいプロローグだった。


pisco1.jpg
ペルーアンデスのスキー滑降はコルディエラ・ブランカの大展望台・ピスコから始まった。



7.ワスカラン北峰 (Huascaran Norte, 6655m, Blanca, 2006)
アンデスのチュリヨ(帽子)みたいに愛嬌のある形をしたビッグで美しいスノーピーク、ワスカラン・ノルテは是非その頂から滑りたかった。ヒマラヤンサイズと言われるワスカランは大きく存在感があり、その稜線は風が強くてとても寒かった。C2で降雪しトレースはかき消された。悪いクレバス帯を慎重越え、山頂へと迫ったがスロープ半ばで小規模な人為雪崩を起こした。安全を期し頂上直下6500mで惜敗した。しかしその後、大斜面をガルカンダに向って豪快にスキー滑降できて満足だった。ワスカランは予想通り、アンデスきってのビッグ・マウンテンであった。登攀グレードはAD、スキー滑降高度差は1500m、最大斜度は45度。

ワスカラン北峰
ガラカンダ付近からのワスカラン北峰


8.トクヤラフ峰 (Tocllaraju, 6032m, Blanca, 2006)
今回の遠征最後の山としてイシンカ谷の奥に聳える均整のとれた美しい山トクヤラフを選んだ。6年前に登った時とルートが変わっていた。アンデスも温暖化の影響を受け、ラインは年々変化している。末端からNWリッジを登る。ここも風が強かった。下部と上部に快適なアイスクライミングがあった。印象的なマッシュルーム・ピークへ登頂直後、ホワイトアウトに包まれた。その結果、残念だが中間部はスキーを担いで降りざるを得なかった。しかし下部の大斜面はスキー滑降を存分に堪能でき、ペルーアンデスのフィナーレを飾れた。NWリッジの登攀グレードはD、下部の滑降高度差は500m、最大斜度は35度。

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  1. 2011/06/16(木) 15:28:13|
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2005 ペルー・ボリビアアンデス、アポロバンバ山群スキーエクスペディション

cyopi1.jpg

最奥に聳えるChaupi Orco峰 (6044m)はアポロバンバ北部、ペルー・ボリビア国境に位置する山群の最高峰で、ケチュア語でセントラルマウンテンを意味する、白銀に輝く美しい峰である。アポロバンバ最大規模の氷河を抱いて、最奥に鎮座するその風格は盟主と呼ぶにふさわしい。


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広大な氷河にハイキャンプを設け、新ルートからの登頂と滑降に成功した。



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二番目のターゲットはアポロバンバ南部の最高峰で、アルティプラノから独立して聳える姿が白い貴婦人を連想させる、エレガントでシャープなトライアングル、Cololo峰 (5915m) 。ペルー・ブランカ山群のアルテソンラフ峰(6025m)に似ているが、こちらはめったに登られることのない、アポロバンバきっての難峰である。こちらも運よく登頂し、滑降をおさめた。



コロロ
コロロも登攀ルートのファインディングが難しかった。これは中間地点でのショット。
  1. 2010/07/14(水) 16:57:43|
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2004 ボリビアアンデスClimb&Ride

イリャンプ

ボリビアアンデスの雄、ソラタマシフのイリャンプ(6368m)はアンデスを代表するビッグマウンテンのひとつだ。2004年に登頂し、そして滑降に成功した。アンデス3シーズン目、初めてのスキーエクスペディションでのチャレンジングな課題だった。


イリャンプ滑降

登頂後、サミットリッジを滑降する。なかなかのgood snowだった。



アンコーマ

イリャンプの前にクライム&ライドに成功したソラタマシフのジャイアント、アンコーマ(6427m)。
これも素晴らしい大滑降だった。


アンコーマACからのイリャンプ

無事アンコーマの滑降を終え、翌日の下山日、氷河末端まで滑降してフィナーレを飾る。アンコーマアタックキャンプからの次のターゲット、イリャンプの雄姿。

  1. 2010/07/12(月) 20:14:00|
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2006 コルディエラ・ブランカClimb&Ride第一弾 ピスコ峰

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高度順化を兼ねて先ずはピスコへ。この遠征ではTLT+FR8.0の組み合わせを使用。アンデス高峰でのClimb&Rideで十分な威力を発揮しました。ノーマルルートで登頂し山頂直下から滑降。プチパウダーを楽しめました。



P8030094.jpg

山頂からのワンドイ三山


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なかなかナイスなコンデションでした!


ワスカラン北峰

次のターゲット、ワスカラン・ノルテ(6655m)へと向かう。素晴らしいスノーマウンテン。



ワスカラン北峰を滑る

こちらもパウダーでした!
  1. 2010/07/11(日) 20:35:03|
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ブログ始めました。祝!by skialpinist

2006 コルディエラ・ブランカ ピスコ峰滑降

2006 コルディエラ・ブランカClimb&Ride第一弾 ピスコ峰からの滑降
名場面順次アップしていきます。
  1. 2010/07/10(土) 12:25:52|
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